道北地方で、一年中やっているプールを探してみると、稚内の「水夢館(すいむかん)」の他にも、サロベツの地から約50km南の中川町にも存在することが発覚した。
中川町にあるプールは「ポンピラアクアリズイング」と、とても一回では覚えられない長い名前の施設で、ここの素晴らしいところは、温泉とプールがセットで400円で使えるという、リーズナブルな価格設定であった。
このポンピラなんちゃらという施設は、外見はかなり立派で、宿泊施設も兼ね備えている。
穴場の温泉リゾートを髣髴させる。
しかも、日曜の昼間だというのに、駐車場はガラガラで、中もかなりすいているんだろう。
人のいないところが好きな私としては、これは期待大である。
壁にたくさん年配の方々がたむろっているようなプールは居心地が悪く、好きなようにプールを独占したいのである。
そんなわけで、水着に着替えて、プールに行きましょう。
さあ、プールへの扉を開くのだ。
おお!誰もいない。
完全にプライベートプールだ。
私一人のために、このプールは午後2時半までの時間、誰も入れずに待っていてくれたのだ!(推測)
しかし、また同時に思った。
「これは、シンガポールの金持ちの家にあるようなプールじゃないか」
と。
そうなのだ、アメリカの大富豪やアラブの石油王の家にあるようなプールではないのである。
どういうわけか、プールを見た瞬間、シンガポールがふっと頭に浮かんだのである。
恐らく、このプールの狭さが、国土面積の狭いシンガポールを連想させたのであろう。
これは狭い、狭すぎる。
いや、ネットの下調べで、このプールは25mコースがある競技用のプールじゃないことは知っていた。
でも、あわよくば15mぐらいは自由に泳げるんじゃないかと、淡い期待を持っていた。
しかし、これはせいぜい10mぐらいしか、泳げるスペースがないんじゃないだろうか。
しかも場所によって、水深が異なっており、一番浅いところでは80cmと、とても泳げたものではないのであった。
仕方がないので、水深1.2mぐらいの7~8mは泳げそうなスペースを見つけて、けのびとか伏し浮きとかバタ足とか、そんなことをやってた。
腕をぶん回しても、せいぜい4回が5回ですぐ壁が来てしまい、自分は速く泳げるようになったんじゃないかと、大いに錯覚した。
30分ぐらいで、「オレは日曜の真昼間から、こんな誰もいないプールで何をやっているんだろうか」と人生のむなしさを感じ、すみやかに退場した。
そうなのだ、このプールは一人で水泳を練習するためのプールではなく、女の子とビーチボールで戯れながら、「あははは」と非日常を味わうためのプールなのであった。
そう、このプールに似合うのは「世界水泳」ではなく、「ドキッ、女だらけの水泳大会」なのであって、「お父さんポロリもありますよ」と田代まさしがアピールしているようなところなのであった。
(注:実際にはポロリはありません)
しかし、400円で風呂つきで、しかもガラガラなので、「基礎連+風呂」の場所と割り切れば、これはこれでありかなという施設であった。
また行くかどうかは、わからないが。
さようなら。