さて、水泳教室のDVDを見て、いっぱしのスイマーになったつもりで、プールに入ってみた。
さあ、泳ぐぞ!泳ぐぞ!泳ぐぞ!
バシャバシャバシャ。
う、ダメだ。
全然ダメだ。
あ、脚が沈む、沈む~。
25m泳いだだけで、100mを全力疾走したような疲労感だ。
DVDで見た優雅さとは、ほど遠いぞ。
どうなってんだ。
仕方がないので、プルブイを股にはさんで、脚が沈まないようにした。
コイツがあれば、伏し浮きが満足にできない私も、腕の力でスイスイ進むことができるのさ。
プルブイを使っているときは、脚が沈まないので、脚の動きを特に今まで意識したことがなかった。
しかし、脚に意識を向けてみると、あることに気づいた。
「腕が伸びているとき、伸ばした側の脚も同時に伸びている」
これが私にとっては、ニュートンが木からリンゴが落ちるのを見て、万有引力の法則を発見したことと同じぐらいに重大な発見なのであった。
さて、今度はプルブイを外してみよう。
脚をバシャバシャさせないと、どうしても脚が沈んでしまうと思い込んでいる私は、とにかくバシャバシャと、高橋名人のごとく1秒間に16キックとまでは行かないが、めちゃくちゃなリズムでいっぱいキックを打っていた。
そうすると、プルブイを使っていたときとの違いに気づく。
「腕が伸びているとき、脚はめちゃくちゃな動きで全く伸びていない」
プルブイを使っていたときは、腕と脚を「伸ばす」ことによって、腕脚一体となり推進力に活かされる。
それにひきかえ、キックを打つと、腕だけが「伸びて」、脚は伸びの推進力を「打ち消す」形となり、ほとんど前に進まない。
では、どうすればいいか?
「プルブイがなくても、腕が伸びているときは、脚も伸ばさんかい、ボケ」
という結論が導き出されるのである。
そんなわけで、恐る恐る、「えーい、命取られるわけでない。沈んでもいいや」と開き直って、「腕が伸びているときは、伸びている側の脚を思い切って伸ばし静止する」ということをやってみた。
すると、どういう現象が起きるか。
沈まないようにするために、反対側の脚がバランスを取るために、ピシッと今までにないぐらいに、いい感じで強いキックが打てるようになっていたのだ。
太ももで一旦水面をピシッと叩いて、その感覚が「膝→足首」と伝わってくるような。
うまく言えないが、脚全体が「ムチ」のようにしなるようなキックになっていたのであった。
そして、今度は反対側の腕が伸びる。
さっき、ビシッとキックを打った足を、上に上げるようにピンと伸ばす。
そうすると、反対側の脚が、無意識にピシッと強いキックを打っているのである。
おかしい、脚が沈まないようにと、やたらめったらキックをしていたときは、どんどん脚が沈んでいったのに、このやり方だと、左右の腕を回す間、2回しかキックを打っていないのに、あたかもプルブイを使ったかのように、脚が沈まない。
こ、これは、もしかして。
「2ビートクロールの完成に近づいているのではないか?」
今まで泳いでいたときは、15mを過ぎた辺りから、急に脚が引っ張られるような感じがして、「うわー、沈む沈む」と余計に脚をバタつかせていたが、どうやら、それは悪循環だったようだ。
そう、キックは回数ではなくて、タイミングだったのだ。
こうして、ようやく私は息を切らすことなく、涼しい顔で25m泳げるようになったのだが、今まで25mよりも長い距離を泳いだことがなく、タッチターンの仕方がわからないので、結局、25mごとに立ち上がり、連続で泳げる距離は相変わらず25mのままなのであった。
《覚え書き的まとめ》
・とにかく、腕を伸ばしたら、伸ばした方の脚を伸ばす。
・そのとき、反対側の脚は、バランスを取るために、太ももを水面に打ちつけるように、「ピシっ」と叩く。
・手足を伸ばしたら、反対側の腕が回ってくるまではガマンして、「伸びによる推進力」を感じる。自分から水をかこうとしない。
・反対側の腕を伸ばしたら、さっきキックした脚を持ち上げるように伸ばす。
《課題》
・脚を浮かせようとして、頭を沈めすぎ?頭を持ち上げようとしてるのか、息継ぎが少々しんどい。
・プルの腕の動きは?水をかくというよりは、「押さえている」感覚。うまく肘を曲げられない。S字プルがいいのか?
・ターンを覚えよう。話はそこからだ。
とりあえず、今週末も稚内のプールに行って、この感覚を忘れていないかどうか、確かめてみたい。
さようなら。